月が、青い。 臥所を出てきた御名方守矢は、縁から月を見上げている。 名状しがたい夢を見た。 真っ青な月の夜。 息の詰まるような青い光。 溺れると思うほど周りが青色に埋められた…ただそれだけの、夢。 目を開き、外へ出てみると、やはり、月は青い。 天も青。水も青。 遠きもの、全てが青。 月の光。 守矢はそぞろ思う。 あれは導きだ。そのために人は、暗闇の中でも歩いていける。 さやさやと降る青い光を、守矢は、いつまでも見つめていた。