ああ、なんだっけ? 
 俺は、何て言ってお前と日本で別れたっけ? 
  
 目の前が真っ白。 
 何も見えねえよ。 
  
 オロチはどうなった? 
 神楽は? 
  
 八神は? 
 
 
 
  
 何も聞こえない。 
 全て終わったのか。 
  
 全て。 
 
  
 …。 
 
  
 …なんだってんだよ。一体。 
  
 俺と神楽と八神…草薙と八咫と八尺瓊が同じ場所に揃って。 
 俺たちの目の前で復活しやがったオロチと、1800年前とそっくり同じに戦った。 
 あの鬱陶しい八神の野郎と、あろうことか協力までしちまって。 
  
 笑っちまう。 
 結局、何もかも運命ってやつの言う通りじゃねえか。 
  
 だから。俺も。 
  
 俺の命も、ここで終わったっていうことなのか。 
 草薙の家に生まれて、オロチを払って。 
 己の宿命ってやつを全とうできた…そういうことか? 
  
 生まれてきた意味は果した。 
 この命も、もういらねえのかな。 
 
 
 
  
 …けど。 
  
 待て。待て待て、待て。 
 
 
 
  
 ユキはクシナダ 
 
 
 
  
 あのデカい白髪がそう言いやがった。 
  
 オロチの復活を完全なものにするための鍵。 
 クシナダって女がオロチの力を集めるアンテナなんだと。 
 その生まれ変わりがユキなんだと。 
 運命ってやつだと、言いやがった。 
  
 何のことだ。 
 ユキは。 
 ユキは何も関係ねえ。 
  
 運命だと? 
 俺たちはただ。 
  
 普通に出会って。 
 普通に一緒の時間を過ごして。 
 普通に…。…… 
 
 
 
 
 
  
 それだけだ。 
 俺たちは。何者でもねえ。 
 
  
 俺たちなんだ。 
 
  
 …冗談じゃねえ。 
 サヨナラなんか言うもんか。 
 俺は死なない。死ぬわけがない。 
 お前のもとに帰るんだ。 
 だから、だから…。 
 
 
 
  
「ユキ…」
  
 
 
 
  
 待って、いてくれ。 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
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