〜 青珠 〜





青い遥かな天穹
少女の瞳は高くを泳ぐ


まるで心を吸われたように
見えない影を求めるように


輝耀の髪と氷晶の眼
異国の血を受け零れた命


その双眸は どこまでも
ただ蒼のみが広がる 空を


見つめて
まるで 慕うように


そうやって少女の追うもの
少年は知っていた


親はいない 彼女には
そして自分にも


違う場所で 違う時に
同じものをなくした


二度とはかえらない 知っている
それでも


心は


おきざりにされ
ぬくもりを奪われた


その 心は


近づいた その髪に触れた
蒼い目が怯えに凍りつく


大丈夫


そのままそっと 撫でてやる


ひとりじゃ ないんだ
これからは


思いを込めて 深く胸に抱きしめた
僅かでも氷が溶けゆくように


心臓の音 生命のありか
あたたかく触れ合う


ゆるやかな拍動が心を解く
桃水がほころび溢れ出す


少女はわれから頬を寄せ
ぴったりとふところに張りついた


空の下 二人ぼっち
ぽつねんと それでも いつまでも


心と体を近く寄せ合い
かたく抱き合う





大空
二人を見守る雲のかたち
龍に 似ていた